ふたりのひとりごと

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東京零年



 ポリエです。


 赤川次郎著「東京零年」を読みました。第50回吉川英治文学賞受賞作です。

 


 いつ、どのように載ったかは不明なのですが、

 書評が出ていたようで、

 何も情報ないけど読むか…

 と、読み始めました。


 話の展開の早さにグイグイ引き込まれていくのはいつものことですが、

 先日読んだ三毛猫最新刊のように、

 先生はテーマを決めて書かれると深みが増すなあと思いました。


 今回は社会派サスペンスで、

 公権力の怖さがこれでもかと強調された内容になっています。

 いや、それはさすがにないだろうというエピソードもなくはないです。

 刑事の、一般人への対応とか、

 元検察官個人が国民のみなさまにあいさつしたいという理由で

 テレビに出るとか、

 タクシーに乗って眠りこけてしまい、

 起きたら運転手はおらず自動運転になっていて海へ真っ逆さまとか。

 私が一番、デターと思ったのは、

 大学で授業を受けていたら数人の男が突然入ってきて

 女子生徒を乱暴するっていう…

 ナイワー…


 ナイワー…なんだけれども、

 全体を通じて公権力の乱暴な行使があるかもしれない、

 既にあるだろうと思わずにはいられない雰囲気があります。

 
 白を黒に出来る公権力への疑惑と怖さ。

 伊坂幸太郎の「ゴールデンスランバー」思い出しました。

 国家によって暗殺犯に仕立て上げられた男の話。
 

 国家によるメディア統制、言論統制。

 防犯カメラに、携帯GPS。

 あ~なんだか暗くなってきました。

 小説ってこういうとこ、ありますよね。

 たかがフィクション。されどフィクション。

 フィクションによる現実への注意喚起。


 やりすぎだよ…と思えない、ひたひたと迫りくる怖さと

 なんだか焦りのようなものが、この小説にはありました。
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