ふたりのひとりごと

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天国までの百マイル 


 ポリエです。


 浅田次郎著「天国までの百マイル」を読みました。


   

 講談社文庫版。

 映画化もされていますね。

 内容は、バブル景気に浮かれ、事業に失敗し自己破産した後、愛する妻子とも別れ、友人の会社で働く中年の主人公が、重い心臓病を患う母を車に乗せて、たった一人、天才心臓外科医がいるという病院までひた走った結果、辿りついた先には切ない奇跡が待っていた…という人情味あふれるストーリー。


 まず、浅田節を知っている方なら、

 情感あふれる人々の描かれ方、

 台詞、全ては織り込み済みと思われます。

 特筆すべきは献身、無償の愛といった見返りを求めない、

 母、マリ、元妻ら女性陣の活躍。

 特にマリは潔かった。

 このマリという女性の生き方、考え方に出会えただけでも読む価値あったかな。

 泣けました。


 今上天皇のオペを担当された天野医師が解説を書いていて、

 この物語の「奇跡」に対し、

 奇跡でも何でもないと仰っていたのには

 驚きとともに嬉しさがありました。

 先生がおっしゃった奇跡は病気のことかと思われます。


 私はこの物語にはもう一つ奇跡があると思っていて、

 それはマリという女性の存在です。

 これについては読んでいただいて自分の目(脳?)でマリを感じて欲しいです。



 それと、読んでいて、自身の冷たさに改めて気づかされました。

 バブル景気に浮かれ、不動産業で億単位の金を動かし、

 日夜呑み歩いていたという主人公が、

 不渡りを出し、家族親戚に借金を申し入れるが断られたというエピソードがあるのですが、

 それに対して、

 助けてくれなかった、あの人たちは私たちに死ねといったも同然

 との恨み節には閉口しました。

 さんざ贅沢を享受し、母親の預金は食い潰しておいて、

 それはないよな、と。

 私自身、物心ついたころから世の中は不景気だったので、

 考え方が違うのかもしれません。

 それに小説なのでデフォルメしている部分もあるでしょう。

 浅田先生なので、人の甘えをありのままに書いているだけなのかもしれません。

 人ってそうだよね、と。

 それに引っかかる私にこそ何か障るところがあり、

 同族嫌悪でつっかかっているのかもしれませんしね。


 あー、いや、さすがに浅田先生は深いな、深いところまで考えさせられるなと

 いま、感銘を受けました(笑)

 
 私がこの本を手にしたきっかけは、

 本の中に出てくる医師のモデルになっている先生の著書を読んだからです。

 こちら ↓

 
  
 医者一人一人を患者が見極めるときが来たなと感じてます。

 
 
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